産総研(AIST)>分散型熱物性データベース

分散型熱物性データベースは液体、固体、高温融体に関する熱伝導率、 比熱容量、熱拡散率、密度、表面張力、蒸気圧などの熱物性値を収録しており、 無料でご利用いただけます。(開発・運営:産業技術総合研究所)

Webブラウザから利用する: TPDS-web

熱物性標準研究グループのご紹介

熱物性標準研究グループは標準供給(標準物質開発、依頼試験)に加えて、技術コンサルティングや共同研究による熱物性評価を実施しています。下記グループHPを一度ご覧頂けますと幸いです。

熱物性標準研究グループHP

熱物性標準供給のHP

■TPDS-web/full操作マニュアル

更新日:2009/04/15

-概要-

 TPDS-web/fullは産総研が開発した分散型熱物性データベースをWebブラウザから閲覧するソフトウェアの名称です。したがって、データ構造は分散型熱物性データベースと共通となります。分散型熱物性データベースでは物質データと物性データの分割管理しており、階層構造を利用した物質の分類と物性データに付与されるデータ信頼性区分に特徴があります。そうした特徴を理解しておけば、TPDS-web/fullをさらに有効に活用することができることと思われます。本章では順を追って、それら特徴を紹介いたします。

1.1物質の分類と階層構造

 分散型熱物性データベースでは、物質を化学的性質、相状態などによって8段階に分類し、階層構造を利用して体系的に整備しています。最も多様な固体の場合を想定すると、分類例は表1のようになります。表中のフォルダの色は、TPDS-web/full中のものと対応します。
表1 物質分類基準と階層構造

第1層
(ドメイン)

Domain

研究、技術のコミュニティーの観点による分類

(常温・常圧時の相状態からも判断)

第2層
(グループ)

Group

物質区分

分類例:金属、セラミックス、半導体など

第3層
(物質クラス1)

物質クラス1

物質グループ1

分類例:酸化物、炭化物等(セラミックスの場合)、遷移金属、pブロック金属、アルカリ金属(金属の場合)

第4層
(物質クラス2)

物質クラス2

化合物名
主成分の化学組成、IUPAC名、CAS Registry numberを記述

分類例:アルミニウム、炭素、炭化ケイ素など

第5層
(物質クラス3)

物質クラス3

物質(材料)名1
結晶性、材料構造等を記述

分類例:シリコン単結晶、シリコン多結晶、多結晶アルミナ等

第6層
(グレード)

グレード

物質(材料) 名2
成分組成や気孔率、化学的純度などを記述

分類例:商品名、グレード、規格名(SUS304等)、標準物質名

第7層
(ロット)

ロット

ロット名
熱処理・キャラクター等を記述

分類時の名称は試料提供機関やデータ取得者、データ登録者が決定

第8層
(測定試料)

スペシメン

試料名
測定試料形状、表面処理条件など記述

分類時の名称は試料提供機関やデータ取得者、データ登録者が決定

 

1.2物性データの3区分(Data Category)

物性データの取得形態や信頼性に関する区分として、Type(データ取得形態)、Traceability(トレーサビリティ)、Authorization(データ認証状態)という3軸で記述しています。表2,3,4にそれぞれの分類を示します。

表2  物性データ区分(Type)

項目

説明

Measured

実測値

Derived

実測値を基に、物理法則に基づいて導出したデータ
エンタルピーの温度変化から算出した比熱容量、室温での密度と膨張率から算出した他の温度における密度など

Synthesized

(同一の熱物性において)過去の物性データと計測データを比較、合成、フィッティングすることにより、算出されたデータ
多数文献データに対して統計処理され、導出された式データ

Simulated

第一原理分子動力学法などの数値計算により算出されたデータ

Theoretical

理論的に導出された物性データ

Others

その他上記に分類しがたいデータ

表3 物性データ区分(Traceability)

項目

説明

International Standard

国際標準値

National Standard

国家標準値

Traceable Measurement

認証標準物質により校正した計測器を用いるなど、国家標準にトレーサブルな計測によって求められた値

Industrial Standard

工業規格等 (ISO, JIS等)に沿って計測された値

Unknown

上記に含まれないデータ

表4 物性データ区分(Authorization)

項目

説明

Reviewed Journal

査読付投稿論文に掲載されたデータ。査読者、学術誌の編集委員会による評価

Recommended

データ評価を研究・業務とする学協会・公的機関・企業・研究者等により推奨されたデータ

Certified

国家標準とのトレーサビリティに基づき認証された値

Catalogue

材料供給機関が自らの責任の下に値付けたデータ

Others

上記以外の根拠に基づいて認証されたデータ

Unknown

認証が行われていないか。認証が行われたかどうか定かではないデータ

1.3ユーザーのプロジェクト管理

 分散型熱物性データベースでは、物性データとユーザーは必ず何らかのプロジェクトに所属し、プロジェクト単位でグラフ閲覧許可や表・式データの閲覧許可を管理しています。例えば、ユーザー登録をされた場合、ログインアカウントとパスワードが発行され、国内向けに公開されたデータについては閲覧可能となります。

1.4熱物性データベースの特徴とその利用法

 物質の分類と階層構造による収録・表示を利用することで、同種物質に対する物性を見通し良く俯瞰することができ、物質に対する理解も深まりやすくなります。また、物質の構造・性質を理解しており、具体的な物性データのみを利用したい場合などは、検索機能を利用するよりも便利です。一方、物性データ区分はデータの取得形態や信頼性を表すものであるので、高信頼データのみが必要な場合などは高度検索機能で、該当の物性データだけをヒットさせることもできます。

 

 

 

- DB閲覧:Webブラウザから-

TPDS-web

 OS,ブラウザに依存しない、閲覧システムで簡易検索、データ比較等ができます。

■データ更新情報